胡桃・1

胡桃(くるみ)を食いながら色々思い出した。俺の育ちは横浜だけれども、そんな都心って感じではなくて、自然豊かな地域だった。山手と言われる地域で、一般的には高級住宅街。俺の所は只の公務員住宅だけどね。

港の見える丘公園、外人墓地、元町、山下公園、中華街、妙香寺(君が代発祥の地)、この辺り。外人墓地周辺を歩いて見れば分かるが、結構鬱蒼とした森が広がっている地域で、自然が豊富。

俺の餓鬼の頃の生活はこの森にあった。植物昆虫採集の周りで生活が回っていた。網と虫篭を持ってあちこちへと。何かいれば取り敢えず捕まえて篭へ。

果実がなっていれば木に登り食う。家の近くにあった枇杷の木にはかなり世話になった。1回落ちて痛い目を見たけど、それでも、となる位に美味かった。

夏蜜柑は酸っぱ過ぎる。木が棘だらけで割に合わん。柿は渋柿で、母ちゃんに酒で漬け込んで貰って漸く食えた。銀杏は臭過ぎて集めたくねえ。親父には喜ばれたが、餓鬼の俺は美味いと思えなかったな。今では大好きだが。

落ちている木の実を拾い歩く。どんぐり、くぬぎ、椎の実、胡桃。好奇心の塊だったんだなあ、さっきの果実もこの木の実もそうだけど、何でも口にした。

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