旅の後・1

管巻き

切り替えの難しい所だ。旅中毒と言うのもあるらしい。金もないのに世界中をバックパック1つで回っている様なのは、正にこれ。中毒ってのは何にでもある。

俺も少しだけ、分かる。常に毎日が目新しい、新鮮な日々ってのは、例えそれが苦労の日々であっても、楽しい。だからこそ、金が尽きたとしても、適当に現地で働いて小銭を作って、また次の旅へ、延々と繰り返す。

こう言う旅を一度経験すると、平凡な日常に戻るのに時間が掛かる。車上生活で暫く放浪していた時は、そこから定住生活に戻すのに抵抗があった。

あの日々は、毎日、風呂はどこ?寝床はどこ?と思案するので落ち着かないのだけれども、それが生きている、生活している実感だった。

現代では、無為に生きていても、家で黙って引き篭もっていれば、寝床や飯にそこまで困る事がなくて、生が日常になってしまって、その分だけ生きている実感が薄くなる。生きていると言うよりも、死んでいないだけ、になる。

この日本での貧困層とか、世界に出れば只の餌だろう。この国のどこに貧困がある?寧ろ、この国は余りにも物質的に豊かになり過ぎた。死を感じられない。実感出来ない。精神的な豊かさは薄い。

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今帰仁のスロ屋に入って来た。

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