少年時代

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ガキの頃に、夏休み、と聞けば誰しもが心躍るものだ。横浜育ちの俺にとっては、実家の福島の、海、川、山、虫に魚、墓参りに祭り、だった。

我が家の帰省は年に1回、盆前後の1~3週間ほど。俺の家は、横浜の中心部とはいえ割りと自然の多い地域であったので、ガキの時分の俺は毎日のように虫を追っかけまわす日々だった。

そんな俺にとって、福島で迎える夏がどのようなものかは言わずもがな。横浜とは比べ物にならない自然があり、それこそ、家が虫に囲まれている、というぐらいだ。

父方の実家はあまり大きな家ではなかった上に、親族が多いゆえかなり窮屈になってしまう。便所なんかも旧式の汲み取り式であった。それに比べると母方の実家はかなり大きい。それゆえ、大概の時間は母と一緒にそちらの方に泊まっていた。

海にも近く、川も目の前。田畑や山もすぐ。日が昇れば、海で泳ぎ、川で魚を取り、山や田畑で虫を追いかけまわす。夜になっても、花火やら夜の昆虫採集やら。家にいても、網戸にでかい虫が張り付こうものなら飛び出していったものだ。

家の前の売店で駄菓子やらアイスやらをかじり、家の中では従兄弟と鬼ごっこ。俺の少年時代の夏休みは、この、福島は浪江にある、母方の実家と共にあったといっていい。

その家は、もう、ない。


注釈

浪江の実家はもう跡形もなくなっていた。集落はもう作れないし、どうするんだろうな、あの場所。
奄美野生生物保護センター。

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