20110311・その4

そう、この地震だけなら、これで終わっていた、はずだった。

ゲンパツ。

ガキの頃に呪文のように聞こえた言葉。母方の実家で、親類がみな集まって飯を食っているときなどによく聞いた。当時はわからなかったが、今にして思えば政治談議だったのだろう。

俺が生まれたときには既に第一はあったはず。第二の方の議論だったのかもしれない。何にせよ、食卓の話題になる身近なものだった。浪江町に原発があるわけではないが、今回の件でわかるとおり、非常に重大な問題だったわけだ

俺は1度だけ行ったことがある。小学校低学年ぐらいだと思う。連れて行ってくれたのが爺さんか叔父かは忘れたが、確かに行った。何を見たかも記憶には無い。

ただ、その時にもらった手帳がある。今はもちろん無いが、こういうものを几帳面に取っておく性格だったガキの自分は、これを高校ぐらいまで保管していた。それゆえ、その内容ははっきり覚えている。

火力や水力に比べ発電量が大きいこと。ガンマ線はぶ厚いコンクリートでないと防げないこと。原発は関東大震災クラスの地震が来ても壊れたりしないこと、これは確かに合ってたいたな。それ以上の地震であった今回でも、それが直接の原因としては壊れなかったわけで。直接、としては、ね。

その手帳には、21世紀の世界がイラストになっていた。超高層ビルが立ち並ぶ都市、その中心をリニアモーターカーが走り、海岸部にはホバークラフトが。宇宙開発が進み、スペースコロニーが。

そんな21世紀は未だ来ず。そして、その入り口にあったはずのゲンパツが、今、終わる。

(続)


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