【九州紀行・22】踊り食い

さて、活け造りの剣先烏賊を。おお、流石に旨い。箸で触ればぴくんと動くほど新鮮。烏賊って、回転寿司などだと安い食材だが、あれは網で獲った物だから、と言う事だ。そうすると水揚げまでに死んでしまう。死ぬと味が急速に落ちる。大量に獲れはするけど味が落ちるから安い。

活け造りにする為には網を使わないで、一本釣り。死んでしまわない為の環境も店に必要。だから値段が高くなる。味の為には仕方ない事なんだな。新鮮な身はこりこりしている。身の部分を食って、下足などは天麩羅にして貰って食う、ってのが一般的。

なつさんが、そのまま行けますよ、と言って、残りもそのまま、手掴みで。上の方からむしゃむしゃ、残りの頭と足を。生きているから、頭から行くと噛まれるそうだ。ワイルドだなあ。でも、生きている物を戴くんだから、これくらいの態度は食う方にも求められる。

と言う事で、俺も真似る。おお、これは行ける。旨い。新鮮だからこそなのかも知れないが、臭いも気にならない。醤油なんてなくても、潮の感じがあって、十分。目玉も全部そのまま行ける。口の部分の固い食感も良い。

背骨みたいな芯、軟甲と呼ぶらしいが、は食えないので、取り出す。これ、背骨ではなくて殻。元々烏賊はアンモナイトの様な殻付きで、その殻が退化して体内に残っているのが、この背骨の様な軟骨、軟甲。

この踊り一気食いをしてみて、何か新しい世界が開けた気がする。食事とは元来こうであった、みたいな。日常生活で埋もれてしまっている人間の野生の本能を呼び覚まされる様な。非常に良かった。

店員はちょっと呆れていた感じで、「豪快な食べ方ですね」と言っていたが。まあ、海岸で自分で捌いてやるならまだしも、立派なレストランでこれをやる事もない様な、と言われれば確か。

(続)


向かい側の方が呼子の朝市かな。

観光船だかが走っていた。

海の上に立つレストラン。

まだ生きている。

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