【教材レビュー9】盛者必衰

旧コラム

話を戻して、ナウル。リン鉱石でじゃんじゃん儲かったナウルの人間には、労働と言う概念すらも無くなった。だが、不幸は突然に。いや、突然では無いな。この世に永遠の繁栄など有り得ないのだから。盛者必衰の理。

リン鉱石も無限のはずが無く、21世紀に入り、尽きてしまった。普通の日本人ならば、貯金で数か月遊び歩いても、それが尽きたら、仕方ない、働こう、となる。労働を経験したことが無い日本人はいないからな。

が、ナウルの人間はもうここ100年ほど、働いたことが無い。労働の美徳どころか、働くということが何かも分からない。労働を教えられる人間も島内にいない。だから、当然、働くなぞ、無理。

人生をどう生きたら良いか途方に暮れてしまい、一日中島をぶらぶらしているとか、時々釣りをしたり、南国らしい、沖縄の生活保護受給者以下の生活をしているそうだ。

それで生きて行けるのか、と言うことだが、ナウルは経済が行き詰って、外国からの援助を貰っている。それで、細々とではあるがやっていけている。だが、危機感を持って働こうと言う奴はいない。働く、ってのが理解出来ないから。

2011年の統計では国民の失業率は90%とのこと。ナウルの現状を見る限りでは、労働を知らないとこうなる、と言う、悪い見本かも知れない。これは、労働を美徳と崇めている奴には嬉しい結論。

(続)

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