【和食11】アイデンティティーの危機

旧コラム

衣食住、これらが変化して尚、以前の文化をそのまま受け継ぐことなど不可能だ。文化の基本が衣食住なのだから。これらが変わるならば、もうそれは以前の文化と同じとは定義できまい。

日本は開国後、食文化、衣服、住居が大きく変わり、それに伴い欧米の思想が流入し、大きく変化した。江戸の文化と現在の文化を同じものと定義することは無理がある。

沖縄も現在、同様の状況に晒されていると言える。だから実は、沖縄人としてのアイデンティティーは危機に直面しているのだが、沖縄人は阿呆なので、この文化の侵略に気付かないのだけれどもね。

俺が知る限りの歴史では、こういう変革期においては必ず反動的主張を掲げる人間が現れる。例えば、明治中期は、鹿鳴館に代表されるような、極端な欧化主義が行われていた。

それに対する批判として、国粋主義を唱えて政教社を設立し『日本人』を刊行した三宅雪嶺や志賀重昂、新聞『日本』を刊行した陸羯南などは、この変化への反動的立場を取った人物だろう。

これは結果的に、日露戦争以後、彼らの本説から外れ、国家主義と結び付き、ファシズムに繋がって行くと言う、最悪の結果を引き起こしたのだけれども、一連の西欧化の極端な流れに一石を投じたという点では評価は出来る。

(続)

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