さて、言い訳はどうでも良くて、この「みよし」がコの字型の建物なのは、その真ん中に住んでいた鳩親父が立ち退きを拒否したから。汚らしいぼろぼろの建物で、このジジイがどうも屋上で鳩に餌を与えているらしく、もうそこら中、鳩の糞だらけ。
汚いし臭いし、大変。目の前にバス停があるのだが、いつ鳩の糞が降って来てもおかしくないので、屋根が付いている。一度だけ、夜にジジイが外に出て来た時に家の内部が見えたが、夜は屋内に鳩を入れているみたいだった。臭くねえのかな。
パチ屋としては、このジジイに立ち退いて貰って、それなりのビルを建てて営業したかったようだが、頑としてどかない。自分の家の愛着ってのもあるだろうけど、このジジイにも信念があって、「学生街にパチンコ屋なんて建てちゃいけねえんだ!」と言う、立派な物。
そうだなあ、俺も「みよし」がなければ道を踏み外す事もなかったかも知れんから、鳩親父の信念は正しかったな。「みよし」に通っている当時は、周囲が鳩だらけで臭いので、うぜえ汚ねえジジイだなあ、と思っていたが。済まんな、鳩親父。
自販機の収入で暮らしていた様だ。目の前がバス停、しかもパチ屋に囲まれているから、ここの煙草やドリンクの自販機はかなり利用されていたよう。まあ、土地をパチ屋に売った場合に得られた収入とどちらが良かったか、と言われると難しい所だが。
しかし、パチ屋に囲まれた家で生活って、良く出来るね。煩くねえのかな。壁があるって言ったって、あの大音量だから、防ぎ切れるもんじゃねえだろう。しかも、朝から晩まで。そこを耐えてでも信念を貫くってんだから、凄い。パチンコで親族を亡くした経験ありとか?それぐらいにパチンコを憎まないと、ここまで出来んだろう。
(続)
プールもあって、目の前がビーチ。
コメント
最近文春でコラムを書いている高野秀行氏の「ワセダ三畳青春期」を読んだんだが、ワセダという所は変な奴が特に多い街だったなあと回顧したわ。
俺らより5年くらい上の世代の話なんだが、ワセダの住人の奇人変人についてのお話だ。
おすすめ
鳩オヤジもその一人だな
相変わらず、B級カルチャーにアンダーグラウンドの、糞みたいな読み物が好きだな。
鳩親父は地域住民であって、大学とは関係ねえだろうが。
御前の好きな油塗れの食い物屋もだいぶ減って来たらしいな。