一周道路が無い理由

旧コラム

前の続き。

集落は高台にあるので登るが、急で結構きつい。家の門には水字貝が飾ってある。これは魔除けらしいが、「水」の字の形をしているので、火難除けでもあるそうだ。要は、火事にならないように、ってこと。

家の数は15戸ぐらいかな。ある家からは、かーかーぺーぺー、ずっと痰を吐くような爺さんの声が聞こえていたが、大丈夫かね。現在の人口が29人、2016年末は20人ぐらいだな。一軒だけある商店も営業していないようだった。

島の最高点、海抜75mにある物見台へ。階段で登りはきついが、眺めは良い。下って、斜面にある、家庭菜園のような小さい畑や、数万年後に貝塚になるであろう、食事後の貝殻を捨てて溜め込んだ場所を見て、海岸線に戻る。

島の西側は遠浅で実に静かで、見所の一つ、ノッチがある。「奇石」と言う意味で、海面に接している部分が細く削られた、きのこ型の岩。沖縄の他の場所でも良く見られるものではあるが、ここのは特に細い。

波の浸食で珊瑚の岩の根元が削られたものだが、最近では折れてしまうものもあるそうだ。見たい人は早めに行った方が良いだろう。島の北側はリーフエッジまでが近く、波がやや荒い。

島の一周道路は無く、道はここで終わり。実は、一周道路を作る計画はあって、実際工事もしていたのだが、ブルドーザーが壊れるとか、工事関係者や島の人が原因不明の病気になるとかで、中止になった。一応、聖地だしね、祟りか。

(続)

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