胡桃・4

世の中には凄い奴がいるもんだ、この胡桃に対する拘り。この無茶苦茶固い種の割り方を一生懸命考案して、そこから上手く実だけを取り出す、考えるだけでも面倒過ぎて俺ならぶん投げる。

どこ迄も切れない、諦めないこの思考、実に素晴らしい。必要は発明の母とは良く言う、やらなきゃ生きられない、ならばするだろう。

でも、胡桃はそれに当て嵌まらん。他に幾らでもあるんだから、米でも麦でも作れば良い。周りが皆そっちに流れるから、独自性を、ってのは分からなくはないが、それにしても胡桃、面倒過ぎないか、他にねえか?

こう言う常識的思考を越えた奴がいる、この手間を越えてでもこれでやって行こうとした奴がいた、そして今その胡桃が手元にある。人間の叡智を今口にしているんだ。

今胡桃に関してこう思いを馳せてはいるが、恐らく俺が口にしている物全てにこの様な手間暇が相当に掛かっている。米や麦は簡単みたいな感じで例に出したが、これだって相当な裏話がある筈、俺が思い付かない様な。

生物が真っ先にやらなきゃならないのは食料の確保だろうから、極論をすれば農業に全ての根幹があると言える。この学問はもう少し大事にされても良いな、と思う次第。

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