胡桃・3

物凄く労力に見合わねえなと思った。これだけ苦労して、ほんの一口。俺の中ではコスパ最悪の物が胡桃。味は悪くはないんだけど、そこ迄美味い物でもない。

それを今、スーパーで買って来てぼりぼり食っている。ふと疑問に思った、どうやってこの中身、取り出したんだ?まさか人力でやっている訳もあるまい、こう大量生産しているんだから。

調べて動画を見て感心した、すげえ、ってしかない。まず、木を揺らす車があって、それで無理矢理落とす。で、車で一気に回収して、工場で皮を溶かす。実を大きさによって篩い分け、それぞれに応じた適度な力で割る。

それを更に篩い分け、残ったでかい実が今俺の口元に。所々に職人による選別って過程があったが、凄いね、これが間違って種の皮が入るのを防いだりしているんだ。

色々と思う所があった、ここ迄しても胡桃を食ってやろうと言う人間の根性。別に、絶対に食わなきゃならんってもんでもねえ、胡桃がなくたって人間生きて行ける。なのに、こんな労力掛けて迄、食ってやる、この執着心。

この心根はどこから生まれて来るんだ、俺には想像もつかない、この胡桃をどうやっても食ってやる、で、これを大量生産して儲けてやる、絶対に俺には出来ないな、他の楽な道、幾らでもあるから、そっちに間違いなく流れる。

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました