【九州紀行・63】草千里

噴火口近くの、草千里に。名前の通りのだだっ広い野原。放牧されている筈の馬や牛の姿はなかったが、あちこちに糞はあった。

火口のなるべく近くまで歩いてみる。煙がもくもくと出ている。いつ噴火してもおかしくないからな。この火口周辺だけの噴火ならそれほどの事はないだろうが、この周囲のカルデラ全部が噴火口で、その長さは南北25km、東西18kmもある。カルデラってのは噴火後に出来る窪地の事。

これ全体が噴火したら、九州一円、山口まで、終わるそうだ。実際、9万年前に起きた噴火では、山口の秋吉台まで火砕流が達している。また、直接的な被害だけでなく、火山灰が舞い上がる事によって日光が遮られ、作物は育たなくなり、食料不足でも多数死ぬ。

そんな地に人間はせこせこと建物を建てているんだなあ、と考えると、諸行無常。こんな場所に土地を所有して家を建てて、一国一城の主になっても、所詮地球との賃貸契約。何万年後か、下手すりゃ数か月後、数日後に、突然契約が切れて、焼き払われて、更地になる。福島の母方の実家もそうなったしな。この世に安泰なんて、何一つないなあ、と。

駐車場の所にある資料館を見学して、館員から最近の地震の話などを聞く。現在通行出来なくなっている道路は、別の場所に作るとか。あ、これはウメが夜にどっかの地元民から聞いて来た情報だった。

外を見ると、さっきよりも噴煙が強くなって来た。あらゆる負を引き付けるオーラを持つバシを連れて来たから、阿蘇山の腹の虫の居所が悪くなって来た様だ。このままこの地に長くいると噴火しかねないので、撤収。

(続)


阿蘇の牛。名物の赤牛かな。

草千里。だだっ広い。

噴煙を上げている火口。

資料館を出ると、噴煙が強くなっていた。バシのせい。

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