何もしない

管巻き

普段の生活に追われていると、もし暇があればなんて空想をして、あれやこれやとやりたい事が沢山思い浮かんで、いつもそれを待ち望む。

さて、現実は、となると全然違う。暇があればまず真っ先にする事はと言えば、何もしない。暇その物を楽しみたい。予定が何もなくて、全てから解放されて、只々その時間その物が楽しい。

酒飲んでぼーっとして、様々な事に思いを巡らせながら、どうでも良い騒音に耳を傾けたり。これもこれで至福の時間、こんな事も中々出来ない。

現代人にそうそう余暇なんてない。偶の休みともなれば、家族サービスやらやるべき事やらで予定は詰まる。寧ろ逆で、余暇なんて休めない。余暇ともなれば何か他の変わった事をしなければならないと言う強迫観念に苛まれさえする。

余暇があるならば、そこを旅行の日程でぱんぱんにしなければいけない様な気さえする。旅行なんてこんな時位しか出来ないんだから、絶対にこの暇な時に行かないと、なんて思う。

何か違うんだなあ。したいからするのではなく、しなきゃいけない気がするからする。結局、自分の意思で動けている訳ではない。本当の自由は何か、そう突き詰めて行くと、何もしない、これに行き着く様な気がしている。

伊是名にて。

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