「てるしの」の島

旧コラム

前の続き。

先へ。クマヤ洞窟に。日本の神話に「天岩戸(あまのいわと)伝説」がある。太陽の女神である天照大神(あまてらすおおみかみ)は弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の暴挙に怒って天岩戸に引き篭もってしまう。

太陽神が隠れた為、世界は暗闇に包まれ様々な災厄が起こった。そこで八百万の神々は天岩戸の前で宴席を設け、その楽しげな騒ぎに釣られて天岩戸から顔を出した天照大神を引き摺り出し、再びこの世に光が戻った、という伝説。

この天岩戸を名乗る場所は全国各地にあり、その一つがこの伊平屋島のクマヤ洞窟。江戸時代の学者、藤貞幹(とうていかん)はここ伊平屋が天岩戸であると唱え、国学者、本居宣長(もとおりのりなが)と対立する。

これが別の国学者、上田秋成(うえだあきなり)を巻き込み、日の神論争、要するに天照大神をどう捉えるかという論争、につながった。藤貞幹の説に拠れば、神武天皇はこの伊平屋島で生まれた、となっている。

大した学者ではないので、この説は相手にされていない。だが、これを観光に活用しない手は無い訳で、伊平屋島は「てるしの」の島、と名乗っている。「てるしの」とは太陽のことで、この天照大神の天岩戸伝説から来ている。

また、「日本皇紀、琉球王朝のルーツ」「原風景の島」とも名乗っている。「日本皇紀のルーツ」とは上記の学説から、「琉球王朝のルーツ」は統一王朝を立てた尚巴志(しょうはし)の曽祖父がこの島の出身であることから。

(続)

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